第5章:母親学級と妊娠した夫 | ||||||
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![]() ダンナ 妊娠後期の姿 |
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心なしか自慢げな表情が笑いをさそった。 妊婦体験が終わった後でみんな合流し、今度は赤ちゃんの沐浴指導を受けた。 ダンナが出席している夫婦は、みなダンナが赤ちゃん人形を洗う係になった。 この赤ちゃん人形がかなーり重い。 生まれてちょっとぐらいの重さ(約4キロ)があり、首がすわっていない。 ダンナは、ぐにゃぐにゃした赤ちゃん人形をビビリながらも保健婦さんの指示通りに手際よく洗うマネゴトをした。 はたから見ていて、結構上手に洗えてるなぁと感心していた。 こんな感じだったら、ダンナにお風呂を任せても安心かなと、ひなは思っていた。 「それじゃぁ、そろそろお風呂からあげてくださいねー」 保健婦さんが声をかけ、ダンナが赤ちゃん人形をベビーバスからあげようとしたが・・・ 「あぁっ!それじゃ赤ちゃんが・・・!」 保健婦さんが思わず叫んだ。 ダンナは、赤ちゃん人形の胸倉を掴むような形で、片手でズボッとベビーバスから赤ちゃん人形を引っこ抜いていた。 まるで大根の収穫のようだった。 「ダンナー!」 「ぬぉ、ごめん!油断した!」 油断するなや。 そんな笑えるアクシデントも交えつつ、無事に母親学級は終了した。 だいたいの基本知識は取り入れられたなーと感慨にふけっていると、 ボコボコッ 「?!」 内側から、腹を蹴られた。 初めての胎動だった。 よくテレビなんかで「あ、動いた♪」みたいにやさしい笑顔をうかべる母親の図みたいなのがあるが、 あれはある意味幻想だと思い知らされた。 いや、普通にビビるから。 予告もなしに腹蹴られたら、誰だってビビるって。 実際に初めての胎動を味わった瞬間のひなの気持ちは 「蹴ったね?!オヤジにも蹴られたことないのに・・・!」 と、完全に嘘アムロだった。 それから胎動を感じる日々が始まったのだが、蹴られたり動かれたりするたびに 「ぅぬあぁっ!」 「むぉっ!」 「ぐふぁぁっ!」 などと奇声を上げてしまうのだった。 |
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一通りの講義を受け、出産への知識を深めたひなとダンナ。 腹が大きくなり、身動きが取れなくなる前に 今度はベビー用品を仕入れに行かなければならない。 次回「出産への道」は「ベビー用品を求めて」をお送りします。 |
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