第6章:ベビー用品を求めて



母親学級も終わり、いよいよベビー用品を仕入れる時がやってきた。
実は、ひなはチョッピリ焦っていた。
母親学級で赤ちゃんの衣服などの講義を受けていた時の事だが
「赤ちゃんグッズはもう揃えたって方はいますかー?」
という保健婦さんの問いかけに、20人中18人の妊婦仲間が挙手していた。
残りの2人の妊婦のうち1人はひなだったというのは言うまでもない。
ぶっちゃけ、そんな早くから赤ちゃんグッズ見て回ったってしょうがないじゃんなんて思っていたのだが、
『妊娠中期を逃したら身軽に動ける時間など数年は来ない』という世紀末伝説のような話を聞かされて落ち着いていられなくなった。
母親学級が終わった直後のダンナの休みの日に、さっぱり焦っていないダンナを買い出しに誘ったのだった。

とりあえず、アカチャンホンポという店に行けば何でも揃うという情報を仕入れていたのでそこに向かってみた。
何だか、ものすごい量のベビー用品があった。
産前用品〜児童期まで、必要とされるモノなら何でもあるよー的な勢いだった。
「何を買えばいいの・・・かな?」
「う〜ん・・・」
ホントにもう、いろいろありすぎてワケが分からなくなってしまっていた。
ちょっと落ち着いて考えれば何がどれだけあればいいというのも思い出せたのだろうが、圧倒的な商品数に恐れをなし、
これ全部買うのにいくらかかるんだろうなどと、一人途方にくれてしまっていた。
まるでバカだった。
せつなくなってしまったひなを尻目に、ダンナは1冊のパンフレットを見つけ、持ってきてくれた。
「ねぇねぇ、ここに載ってるリストのやつでいいんじゃね?」
そう言いながらパンフレットを開いて見せた。
「おっ、お買い物チェックリストじゃん!」
「これ参考に買えば、何とかなるんじゃないかなーって思うんだけど」
「うんうん。でかしたダンナ!」
近くにあった椅子に腰掛け、二人で食い入るようにリストに目を走らせた。


◎新生児衣料◎
短肌着 5〜6枚
長下着・コンビ肌着 合わせて5〜6枚
ロンパス 2〜3枚
ドレスオール
(2ウェイドレス)
2〜5枚
アフガン(おくるみ) 1〜2枚
ソックス 2〜3足
スタイ(よだれかけ) 3〜5枚
◎調乳・授乳◎
哺乳瓶 2〜3本
果汁瓶 2本
乳首 3〜5個
哺乳瓶ブラシ 1個
哺乳瓶用洗剤 1本
消毒器 1個
清浄綿 1〜2箱
◎おふろ・ベビーケア◎
ベビーバス 1個
湯上りタオル 2〜3枚
ベビー石鹸・ベビーシャンプー 1個・1本
ベビーオイル 1本
綿棒 1パック
温度計 1個
カイメン 1個
つめ切り 1個
体温計 1個
ガーゼハンカチ 6〜10枚
温湿度計 1個
◎おむつ用品◎
紙おむつ 10〜20枚
布おむつ 30〜50組
おむつカバー 3〜5枚
おむつ洗剤・肌着洗い洗剤 1箱(本)
おしりふき 5〜6個
◎ベビールーム◎
組布団セット 1セット
掛布団・敷布団カバー 各2〜3枚
防水シーツ 2〜3枚
キルトパッド 2〜3枚
綿毛布 2〜3枚
ベビーベッド 1台
◎お出かけグッズ◎
チャイルドシート 1台
ベビーカー 1台
子守バンド 1個
◎入院準備用品◎
産褥(さんじょく)ショーツ 3〜4枚
すそよけ(おこし) 1〜2枚
T字帯 2枚
ナプキン 2〜3包
ガーゼねまき 1〜2枚


ちょっと待ってよ・・・_| ̄|○
これ、こんなにあるのに『絶対必要』とか書いてあるよ・・・。
「ねぇ、こんなにイロイロいらないよねぇ?」
「だよなぁ・・・」
まずはこのリストだけを持ち帰り、自分達にとって本当に必要かどうかを見極めてから再び買い出しに出ようと話し合い、
その日は何も買わずに家に帰った。


それにしても、この必要物資の数は何なんだ。


初めて見た腹の中の我が子。
実感は湧かないが嬉しがるダンナ、禁煙達成に勢いついてきたひな。
だがしかし。
そんなほのぼのとした状況を打ち破る事件が発生してしまう。
はたして無事に出産までこぎつける事ができるのか?!
次回「出産への道」は「強制入院」をお送りします。

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