第3章 : ブライダルフェアー・リベンジ | ||||||
すさまじい額の結婚費用に打ちのめされたひなとあつしは、すでに結婚式への意欲を無くし始めていた。 ・・・だってさぁ、200万円近くの大金、どこをどう叩いたって出てこないし。 いっそ、ジミ婚で済ませてしまおうか? そんな雰囲気ただよう7月、再びワシらのもとに恐怖の手紙が配達された。 「BELLA−VITA ブライダルフェアー開催のお知らせ」 ・・・来たか。 ブライダルフェアーのハガキを握り締めたまま、ひなはポストの前で立ち尽くしていた。 「行ってみようか」 あつしが気軽に言った。 「・・・行くの?」 「うん。ロックハート城とは違ったプランとかあるかもしれないし」 なるほど、そうかもしれない。 同じ系列の結婚式場だといっても、値段まで同じとは限らない。 ひなとあつしは、仕事が終わった後にBELLA-VITAへ行くことにした。 今回の見物は、クリスタルに輝く十字架のある教会での模擬挙式だ。 なんといっても、天井までの高さは11m、バージンロードは長さが15mもあるという。 ワシらはドキドキしながら荘厳なロマネスク様式のチャペルへと足を踏み入れた。 ・・・すげぇ。 あまりの豪華さに、ワシらは言葉を失った。 牧師の後に続いて入場する新郎。 父親と腕を組んで入場する新婦。 新婦の歩みに合わせて天井からのスポットライトが新婦を照らす。 結婚の誓約に続き、指輪の交換、結婚証明証への署名。 あぁ、ワシらもこんな風に結婚式をするんだなァ・・・。 ふと隣のあつしに目を向けてみる。 ぽか〜ん。 ・・・放心? 模擬挙式が終わり、結婚式に必要なアイテムをざっと見学した後で、最後のブライダル相談のコーナーへとやって来た。 「え〜っと、こちらで仮予約をされている方ですね?」 相談役のMさんというおネェさんがワシらに言った。 どうやら把握されまくっているらしい。 どうせ顔がワレているのなら、今さらカッコつけてもしょうがない。 「ちょっと、挙式費用に不安があるんですけど・・・」 単刀直入にあつしが切り出した。 「でしたら、こんなプランはいかがでしょう?」 Mさんは、1枚のチラシ広告をワシらに提示した。 オープニングフェア開催! ベラ・クラシカル 50名様 ¥950,000(サ・税別) 「こちらのプランにはチャペル挙式、御披露宴フルパッケージが込みとなっています」 マジっすか!? 前回のどんぶり勘定の約半額じゃないか! 見積をだしてもらって、さらにビックリ。 衣装代、挙式料、披露宴のサービスのいくつかがプラン内サービスとか書いてある。 ただ1つだけ、ひなは気になる点を見つけてしまった。 「このプラン、9月15日までの期間限定って書いてあるんですけど・・・」 どうしたって再来月に挙式は無理でしょう。 再び暗雲が立ち込めたワシらに、Mさんが天使のような声で告げた。 「年内にこちらで式を挙げて頂けるのでしたら、この料金でやらせていただきます」 マジっすかぁ!? 即 決。 「じゃ、年内にこちらで式を挙げさせて頂きます」 「ありがとうございます。では、具体的に日取りは・・・?」 「え?日取り・・・?」 「はい」 ワシらは顔を見合わせて固まってしまった。 「あ、あの・・・、まだ親に何も言ってないので・・・」 「・・・・・・・・・そうでしたか」 Mさんはかなり戸惑っていた。 おいおい、アンタ達、先走りすぎだYO!とか思ってるかもしれない。 「えっと、両親と相談してから、もう1度来ます」 「・・・お待ちしています」←ちょっと不安そう Mさんは、見せてくれた資料を持たせて、満面の笑みでワシらを送り出してくれた。 「何か、あたし達、順番を間違ってたみたいだね・・・」 「・・・そうだね」 己の間違いを噛締めつつ、ワシらはBELLA-VITAを後にした。 |
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段取りの順番を間違えていた事に ようやく気づいたひなとあつし。 親への報告という一大イベントを控えたこの時点で 更に大きな問題が2人を襲う! 次回「結婚への道」は「運命の分かれ道−あつし編」をお送りします。 |
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