第6章 : 結婚資金の大誤算 | ||||||
とりあえず両方の親から結婚の承諾を得たひなとあつしは、結婚資金の相談をしにBELLA−VITAへと向かった。 以前、どんぶり勘定で見積を出してみたが、さすがにその値段で結婚式は挙げられない。 ひなとあつしは、悲愴な顔つきでVELLA−VITAの玄関をくぐった。 「いらっしゃいませ」 フロントのおネエさんが明るい挨拶をする。 「あの〜、結婚式の相談に来たんですが」 あつしが心もち暗い声で用件を告げる。 「はい、それではあちらのソファーで少々お待ちくださいませ」 ワシらの悲壮な表情にひるむ事なく、おネエさんはロビーに案内してくれる。 しばらく待っていると、書類をかかえたおネエさんが2人の前にやってきた。 「いらっしゃいませ。私、ブライダル担当のSと申します」 「あ、お世話になります」 お互いに礼儀正しく挨拶をしてみる。 何てったって、これからものすごく迷惑をかけてしまうであろう人だ。 せめて礼儀正しくしておかなければバチが総出で当たりまくる。 Sさんは、ちょっと書類に目を通し、信じられない事を言った。 「え〜っと、12月23日に挙式予定の〇〇様ですね?」 「・・・え!」 ナゼか面が割れている! 「あ、はい」 気を取り直して答えるあつし。 「それでは、予定通りに23日に挙式でよろしいですか?」 「はい、お願いします」 「では、こちらが当日までのスケジュールになっておりますので、お2人でお持ち下さい」 そんなのまで作ってあるのか! あまりの手際の良さに感動すら憶えてしまった。 「それでですね、挙式のプランの事ですが・・・」 来たッ! こんなに働き者なSさんには気の毒だが、コレだけは言わなければいけない。 そう。 ワシらは貧乏だという事を。 「その事なんですが・・・、できれば100万円以内で収めたいなと・・・。多くても200万円までで」 「はい。大丈夫ですよ」 マジで!? あまりの快い返事に思わず取り乱すひなとあつし。 イヤイヤ。人生そんなに甘くはないはず。 ひなはもう一つワガママを言ってみた。 「あの、セットになってる飲み物なんですが、招待客にあまり酒を飲む人がいないので数量を減らしたいんですが・・・」 「そうですか。では、飲んだ数だけ請求させて頂くという方法にしてみたらいかがでしょうか」 できるの!? たしか、ブライダルフェアーでの説明では 『パック料金なので、数量を増やすことはできても減らすことはできません』 とか言われたはずなのに・・・! ひなとあつし、開いた口が開いたまま。 「結婚式が終わるまで私が担当いたしますので、よろしくお願いします」 Sさんの背中に天使の羽が見えた気がした。 「こちらこそよろしくお願いします」 ひなとあつしは深々とSさんに頭を下げた。 |
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心強い味方を得たひなとあつし。 だがしかし!あまりに身近すぎて気付かなかった重大な問題が発覚した! 次回「結婚への道」は「我が家はどっちだ?」をお送りします。 |
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